お菓子作りに欠かせない「焼く」という工程。
「粉のひと粒ひと粒に火を入れる」―お菓子作りの極意として
語られる言葉どおり、「焼き」で、味わいも見た目も大きく変わってきます。
「焼く」時は主に窯を使います。創業当時から使っている
相棒です。朝早くに電気を入れて温めて、1日を通して
気温と相談しながら温度の調整をはかっていきます。
奥のほうが火が強い、下の段は温度が低い…窯にも性格があり。
それをよく知り理解することで最強の相棒になります。
どんな状態に焼き上げるのか、到達点のイメージを明確に
持って焼くことが大切です。目指す焼き具合、「これがベストだ」と感じる
風味や食感を見極める行為は、経験と想像力がものを言います。
迷いがあれば焼き損じにつながり、すべての作業が無に帰すわけです。
1度窯に入れたら、ドンと構える…「焼く」には勇気が必要なのです。
お菓子の味わいを決定づける「焼く」。
今日も窯と生地と真剣に向き合います。